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精工舎 SEIKOSHA

19. 別大飴色四ツ丸(柳島工場製)

「別大飴色四ツ丸」

12インチ四ツ丸

メーカー 製造年代 大きさ 仕様・備考
精工舎
(東京市本所区柳島町)
明治30年代 文字板十二吋
全高71cm
八日持 打方付
ペイント文字板(張替え)

丸尾長、亀甲尾長や一部の大型掛時計を除くと精工舎もボンボンでは文字板12インチ製品は限られています。 ひとつは八角型の「和籐内」で、もう一つはこの四ッ丸型の「別大飴色四ツ丸」です。

どちらも、舶来品を手本にしており、和籐内はトーマスのオフィスNo.2をコピー、 そして、こちらの大型四ツ丸「別大飴色四ツ丸」は イングラハムの初期のパテント(No.970 ,1857)の ダブルサーキュラードアのデザインパテントの発展形となったIONIC,DORIC,VENETIANなどの中の REFLECTOR(リフレクター,1877 - 1881)を忠実にコピーしたもので、10吋と比べても大人と子供位の違いがあり、 巨大で、圧倒的な迫力と存在感です。 写真下の"時計正面2ボタン"を押すと、下の絵ガラス窓に白のCDデスクを貼った写真が出てきますので、 12インチの四ツ丸の大きさをなんとなく実感できます? 迫力ある時計故に、普通のウサギ小屋では負けてしまいますので、もっぱら寺社など大きいところで使われたものが多いのではないでしょうか。

明治35年9月の服部時計店営業一覧初版には第三十八号、大型高さ二尺三寸五分「別大飴色四ツ丸」として大きく載っていますが、 40年代のカタログにはこの図版がなく、カタログ商品名だけに「第三十八号極大型文字板12吋長さ二尺三寸五分」として記載されています。 四ツ丸は大正になると本四ッ丸のスタイルは消え、8インチ貼り四ツが主流になっていきます。

文字板と機械

文字板裏の修理履歴

扇S時代の機械

12吋ペイント文字板は、紙文字板に貼り変わっています。文字板裏に大正3年と12年の修理歴書き込み有り。

機械は、第46号玉縁尾長によく似た扇S時代の機械、ガンギ車が打ち抜きなしの一枚板型。

ケース(箱)

金彩三重丸の揺らぎガラス

塗装は飴色漆塗りの上に金箔を貼ったような跡があるが、図版に見えるように金色の筋まだら模様にも見えます。 飴色四ッ丸というケースが飴色の質感を出すために金を絡ませた塗装仕上げとも見れます。(全面金色=金四ツ仕上げではない)

丁番は独特のギボシのような飾り鋲付。(レフレクターのコピー) 掛金は2本釘肩張型です。

上下とも、かなりの歪みのある、揺らぎガラスでオリジナルらしいが、カタログに有るSEIKOSHA TOKIO JAPANの絵ガラス上の文字が無く、 ラベルに同様な文字が入ってるので、消えたのではなく、下窓は初めから金彩三重丸だけだった可能性大。

振子室ラベル

SEIKOSHA
TOKIO, JAPAN.

黒地金彩で SEIKOSHA TOKIO, JAPAN. だけの飾り枠もない地味な単純なラベルです。

振り子

左がこの時計のもの、右は普通サイズの振り子(大きさの比較用)
鍵はオリジナルか不明

カタログ図版

精工舎製造時計目録表

明治35年1月

1880,
CATAROGUE and PRICE LIST
CLOCKS E.INGRAHAM & Co. BRISTOL,CONN

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