7. ヘソ形目覚 暗室時計 【精工舎】
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メーカー | 製造年代 | 大きさ | 仕様・備考 |
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精工舎 SEIKOSHA |
昭和10年頃 | 最大直径12.5 p | 毎日巻き、ストップ機構付、 ペイント枠、 紙製夜光文字板 |
服部時計店の測量器械部が取り扱っていた「特殊時計」のカタログに掲載されているものです。 実用新案登録 第184126号。
ヘソ目では数少ないペイント枠を採用。 針と文字板目盛に蓄光塗料が塗布されており、暗室内でも時刻を読み取ることができるようにした「暗室時計」で、 秒針を使用して、引き伸ばし作業時における露光時間管理や、フィルム、印画紙現像時の現像時間管理などに利用したものと思います。 写真でご覧いただけるとおり、ヘソ目を改造して作ったもので、時針を取り払い、分針と秒針を太いものに変更。 そして時計を停止できるストップ機構をつけています。枠の右側にニョキッとでている鉄人28号を操作できそうなレバーがそれで、 レバーを下方向にスライドすると内部の金属板が天輪に接触して時計を停止する安易な構造です。
ヘソ目の暗室時計はこれひとつだけで、昭和30年頃、あるいはその少し前にコロナの機械を流用したKH印の暗室時計へとバトンタッチします。
夜光文字板
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ペイント枠 裏と横
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当時の資料
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本器は所定時間(一時間以内)経過と同時に警鈴を発せしむる様構成されたる時計にして 一定時間に作業を完成せしめんとする場合殊に写真現像の如く暗室内に於いて一定時間を限り作業を行わんとする際至極便利重宝する時計なり。 指針は秒針(小)と分針(大)の日本のみにして目盛は相互に逆行せる二重目盛なり。 図中右側のレバーは機械の進行停止を司る。
使用方法 : 本器を使用せんとするには先ずレバーを曳きて機械の運行を停止せしめたる後裏面の把手を以て分針を廻して所用の時間に合わすべし。 此際外側の小数字を用ふるを便とす。 例之20分後に警鈴を発せしめんとする時には分針を外側の数字20(内側数字40)上に合すべし。 次に作業着手と同時にレバーを戻して機械の運行を開始せしむ。 斯くて分針が零位に達すれば警鈴装置が働きて所要時間の経過を警報す。
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考案者 河田源三(かわたげんぞう)1890-1953
精密機械技師。
中瀬村生まれ。大正10年服部時計店取締役精工舎技師長に就任。その後第二精工舎役員等を兼任して精密機械の技術開発に努めた。
埼玉県1998『埼玉人物事典』から抜粋
類似品の広告を発見
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今岡時計店の広告ですが、時計自体はドイツ製のようです。 このような製品が手本になったのかもしれませんね。
戦後の色胴ヘソ目
精工舎の色胴ヘソ目なんて見たことがありませんが、戦後に存在していたことを証明する広告です。 コメットなどの新製品が500円以上の値段がついているのに対して、ヘソ目は特価で両鈴でも390円という叩き売りのような状態です。 この暗室時計のように、色胴なるカラーヒヨコのようなヘソ目も登場して、昭和24〜25年あたりがヘソ目の最後だったと思われます。
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