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アンチモニー枠 毎日巻機械

10. 八咫(やた) 御大典記念置時計 【精工舎】

イブシ八咫

No.528 イブシ八咫(やた)

メーカー 製造年代 大きさ 仕様・備考
精工舎
SEIKOSHA
昭和3年9月か10月に販売開始 高 四寸
巾 三寸五分
文字板ニ吋
毎日捲きビー機械、アンチモニー側

温泉旅行で立ち寄った骨董店で購入。
相手をしてくれたのはとても面白いおばさんでお茶だけでなく私の大嫌いなナスの漬物を出してくれまし た。(笑)
この時計を見た時は花の化け物かと思いましたが、家に帰り調べたら 「イブシ八咫(やた)」という 名前がついていることが判明。おそらく、天の岩屋戸(あまのいわやど)に隠れた 天照大御神(あまてらすおおみかみ)を誘き出すため作られたという三種の神器 のひとつ、八咫鏡(やたのかがみ)を模ったものと思われます。 といっても、八咫鏡の実物を見たことはないのでタブン・・・ですが。
側は日本神話に忠実に天安河(あめのやすのかわ)の硬石と 天金山(あめのかなやま)の鉄からつくられており、 あ、いやそんな筈はなくアンチモニーです。 文字板には、「健康賞 内務省社會局」とあります。

内務省は、1873(明治6)年に設置され、第二次大戦前の警察・地方行政などを統轄した中央官庁で 1947(昭和22)年に廃止されました。置時計は文字板やケースに記念の文字が入っていることがおおく、 文字が入っているとマイナス評価する骨董屋さんもいますが、このように作られた時代を象徴するものは 逆に面白みがあります。文字も全体のデザインを崩さないよう大変丁寧に入れられています。
時計の精度はバッチリで全体的に程度は良いのですが、残念ながら古い時代に右足が折れて補修してあるのと、 左足の先端が欠けています。

健康賞の仲間

こちらは後日入手したものです。同時期に作られたものと思われ、文字板や文字の入れ方までまったく違いはありません。

流金八咫

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流金八咫

精工舎

こちらは流金ですが、金色がよいコンディションで残っており、当時の姿を良く保っています。 この時計用に木枠を用意しました。(写真5枚目)

御大典記念置時計

精工舎のカタログでは単に「八呎」ですが、大阪、信太(しのだ)時報 昭和3年の卸カタログの 広告にこの時計が巻頭に「御大典記念置時計、いぶし八呎鏡二円四十五銭、流金ニ円九十五銭」とあり、 ちゃんと三種の神器の矢呎の鏡である事が明示されています。 三種の神器は皇位継承のしるしとされていますので、これはまさしく八呎の鏡なのです。 同時にこのカタログには記念時計として精工舎は「流金、扇」と「いぶし扇」が載っていますし 同時に東京時計が「御大典記念、古鏡型置時計」を発売しています。 やはりビー機械で外側が八呎の鏡の格好をしていますので、やはり昭和天皇即位に関係したデザインとして、 昭和3年の御大典時に出たものです。八呎鏡時計の足は同じ三種の神器のヤサカニノ勾玉?ですね。

信太時報 昭和3年9月号の卸カタログより

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