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数回打目覚時計 : INTERMITTENT

3. タンゴ 【精工舎】

資料 1 夜光紙文字板

No.872R タンゴ 夜光

紙文字板、INTER-MITTENT 表記あり

メーカー 製造年代 大きさ 仕様・備考
精工舎
SEIKOSHA
昭和12年 高サ 取手共四寸六分
幅 三寸七分
毎日巻き 目覚付(間欠式)、 真鍮にニッケルメッキしたケース、 裏蓋は鉄製、 紙製三吋半文字板

精工舎「タンゴ」をご存知ですか?
一見いたって普通のようですが、コロナでは無し、内鈴目覚でもなし。 実は、数回打「INTERMITTENT」系なのです。 精工舎の数回打と言えば、数回打(初期型)→新数回打と進化し”新”のほうはかなり売れたようで今でもよく見かけます。 この「タンゴ」は新数回打のさらなる進化系と言えます。

デザインは全体的に見直され、同時期の山口時計や大阪メーターあたりと似た感じです。 機構的にはベルのストッパーが右上のスライドボタンになったのが大きな違いです。 また、針はそれまでの鉄製から真鍮を濃紺に塗装したものにかわっています。

発売開始はおそらく昭和12年。 昭和13年には国家総動員令が発布され、がらっと産業構造そのものが戦争モードに突入するため、特に置時計の輸出が止まり、 置時計は壊滅的な被害を受ける事になります。 戦後に引き続きタンゴを作った形跡は今のところ見つかりませんので、戦前のみの生産だったとすると製造期間は極端に短く、 製造数もとても少なかったと思われます。 昭和12年のカタログを見ると、それまでの数回打とタンゴが両方載っていますので併売していたようです。 夜光無しの卸値で比較すると、数回打が2円70銭、タンゴが2円80銭です。

この時計は、裏蓋に昭和40年代の修理履歴がありました。30年以上現役で頑張ってきたようです。お疲れ様 !

資料 2 夜光紙文字板

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No.872R タンゴ 夜光

紙文字板、INTER-MITTENT 表記あり

こちらは文字板のヤケが少なく白と黒のコントラストがくっきりとしています。 ラジウム夜光塗料が塗られたインデックスは今でも高輝度で光ります。 針の夜光は落ちてしまっています。

ラジウムといえば発見者のマリ・キュリー(キュリー夫人)の残した研究資料は100年以上経った現在でも放射線を出し続けているため、マイクロフィルムでの公開となっているそうです。 時計の夜光文字板製造従事者の健康被害はアメリカでラジウム・ガールズとして知られていますが、日本国内では聞いたことがないですね。

資料 3 夜光無し紙文字板

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No.872 タンゴ

紙文字板、INTER-MITTENT 表記あり

資料 1・2 と同じで紙文字板ですが、夜光ではありません。INTER-MITTENT 表記あり。

資料 4 銀色アルミ文字板

No.872 タンゴ

アルミ文字板、INTER-MITTENT 表記無し

アルミ製の銀色塗装文字板に仕様変更となったタイプです。 「INTER-MITTENT」の表記がなくなりました。

タンゴ 機械

文字板側

当時の広告とカタログから

昭和12年新発売の資料?

昭和12年カタログより

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