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時計の絵画

4. 仏国製珍置時計(水彩画)

「仏国製珍置時計」色紙

畏も明治大帝より伊藤博文公に賜り高橋家に伝来の佛国製珍置時計也
昭和31年7月24日 日本時計クラブ会員 石黒敬七、筆水彩画

佛国製珍置時計 19世紀、高35cm

振り子式置時計、打ち方無し、6吋ガラス文字板、枠は木製
機械は小型のフランス製機械と思われる

これは石黒敬七のコレクションということではなく、明治天皇が所蔵のフランス製置時計を伊藤博文に下賜され、 その後何らかの縁で高橋某家に伝来したという珍しいいわくつきの時計です。

明治天皇の時計好きは有名で、西郷隆盛遺愛の懐中時計は明治天皇から拝領したものだそうで、 天皇は内外からの献上品として受納するとともに、自国の功臣に時計などを下賜されるのは少なくなかったということです。 先の「 東都時計蒐集・趣味家見立鏡 」(昭和39年日本時計倶楽部編集)の番付表に総元締として天智天皇と並んで明治天皇の名前が有り、 色紙の賛はその辺の経緯を含んだものといえます。 石黒敬七が昭和31年に縁が有って旧家高橋家でこの時計を拝見して、興味を持って絵を描いて記念に残したということでしょう。 時計コレクターにして画業にも秀でた才能を発揮した石黒ダンナの記念碑的傑作です。

石黒敬七

石黒敬七氏

参考文献:「時計亦楽」平野光雄著 昭和51年10月25日、青蛙房刊
「続時計と民具と」平野光雄著、昭和49年7月27日日本時計宝石PRセンター刊
「がらくた美術」昭和50年3月22日、大陸書房刊

氏は趣味も多彩で、パリ蚤の市仕込みの古物コレクションは有名。 「東都時計蒐集・趣味家見立鏡」の東のNo.3 関脇に随筆家として名を連ねているように時計収集家としても知られています。

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