9. ASTRA 大理石四方硝子置時計
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| メーカー | 製造年代 | 大きさ | 仕様・備考 |
|---|---|---|---|
| 株式会社 新陽舎(東京都武蔵野市境 895番地) | 昭和29年頃 | 全高40cm、幅20p、アルミ5吋銀色ペイント文字板 | 接点式、単一が一個1.5V、報時機能なし |
整理の都合で掛時計コーナーに掲載します。 なんかYAMASHITAに似ている・・・の直感で入手してみたらやっぱり新陽舎の時計でした。 新陽舎の時計の形状は私が当時の資料で確認している範囲は以下の通りです。
- YAMASHITA (天文等の研究室用)
- NORMA(家庭・商店・事務室用)
掛時計と置時計(大理石四方面取硝子、真鍮製金色四本柱、前後扉)の二種類あり
後段のNORMA(ノルマ)は、精度面で当時の時計界の頂点を目指したYAMASHITAのリレー機能等を排除した機械の基本部分をベースにして 特に接点を簡素化し一般での使いやすさと低コスト化を狙った製品のようです。なお、実物は見たことがありません。
このASTRAですが、以下の理由からNORMAが量産化されるまでの間に作られた試作品的な位置づけではないかと考えています。
- NORMA置時計の形状・仕様と完全一致する
- 文字板裏に実用新案登録願の刻印があり申請中の製品である
機械の見た目はYAMASHITAジュニア
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機械は他社の電磁時計と比較するとびっくりするほど堅牢な作りですが同社のYAMASHITAと比較すると明らかに廉価版です。 一般向け製品として全体の見た目には拘っており、電池ボックスや電磁コイルを天吊り型にすることでシンプルにして 文字板、機械、振り子を見せる四方硝子の優雅さを最大限に引き出しています。 加えて「軽快な一秒飛び中心秒」と呼ぶ秒針のすーっすーっという動きが高級感を増しています。
修復作業は大変勉強になりました!
この時計、お決まりのジャンク品を入手したわけですが、 本体重量が14キログラムもあるのに転倒した形跡があって石の欠けや真鍮枠の歪みがありました。 面取り硝子は面取って薄くなった部分が衝撃であちこちかけていましたが大きなヒビワレや欠損がないのは幸いで、 いつもやっている要領であれこれと微修正程度で外見はそれなりに復元できました。
一方、機械を動かすのは思うようにいかず、なんと35回も調整をやり直しました。 まず、実施したのは電源系統の修復です。 電池の液漏れで電池ボックスとその周辺が朽ち果てていたので、 もともと天吊り型になっていた電池ボックスを汎用のプラスチック製にして床置きで仮説しました。 当初、天吊り型で再現してみましたが、 電池ボックス自体を脱着式にしないと機械の固定の邪魔になってしまい時計の保守性がとても悪くなるため 優雅さより保守性をとってここは迷わず床置きに変更です。 コイル以外はほぼ配線レスの設計になっていたので、 修復に際しては真鍮枠と機械のどこにどのように電気を流しているのか絶縁しているのか久しぶりに考えました、電気のこと。
最大の難関は磁石振り子の要の接点でした。 過去の修理で接点に関わる部品がかなりいじられていたことに加え、二つあるペラがヘロヘロでした。 あちこち修正しましたが、見た目はオッケーそうでも、なかなか正常な通電状態にならずすぐ止まる、しばらくすると止まるのループを繰り返して結果調整35回です。 振り竿の送り爪がガンギを送り、ガンギの歯が押しペラを押し同時にガンギの逆転防止をする、受けの接点ペラに接触すると通電しコイルに電流が流れ振り子の動作につなげるわけですが、 このすべてのタイミングをいい塩梅にするにはそれぞれの部品をかなり精密にコンマ数ミリのクリアランスで仕上げないと正常動作しません。 いくら接点周りを調整してもコイルの作動具合が目視できないのが厄介なところで、 えーい、豆電球付けて電気の流れを可視化してしまえ!とやってみたところ、 通電のインターバルが短すぎてコイルがオンになっている時間が足りず振り子の動力不足が発生していることに気づきました。 目から鱗が落ちるです。 やっぱり理屈を理解してその通りに動いているかを確認しながら作業するべし、と今更ながら学びました。
ちなみに、豆電球ですがLEDでやろうかと思ったら1.5V対応の低電圧のLEDは少なくてあっても値段が高いので昔ながらの豆電球でやりました。












