3. マグナー電磁時計 昭和31年 通商産業大臣賞受賞
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メーカー | 製造年代 | 大きさ | 仕様・備考 |
---|---|---|---|
マグナー電磁時計株式会社(名古屋) | 昭和31年3月 | 全高37cm、幅24p、アルミ8吋銀色ペイント文字板 | 接点式、単一電池一つで稼働、打方なし、色別白緑(びゃくろく) |
背板のラベルが有難い個体です。 前頁のマホガニー色の一年ほど前の製品と考えられますので、違いを中心に整理します。
通商産業大臣賞受賞
背板のラベル(写真5)には以下の記載があります
- 通商産業大臣賞受賞
- 特許 マグナー電磁時計
- 特許 No.204316
- 実登 No.398508・400101
- 意登 No.1249・12050
- 水平垂直になる様上下とも完全に取り付けてください。
- 乾電池は完全接触する様に御注意下さい。
- 時間の調整は振子の重りで加減して下さい。
- 移動する場合は必ず振竿を固定して下さい。
- 針は逆に廻しても差し支えありません。
- 製造元 マグナー時計株式会社
- 名古屋・上前津
- TEL 32 4597〜8
- 検査合格の赤印 31.3.24
昭和31年3月24日に社内の出荷検査に合格した個体であることがわかります。 電話は二つです!
外装品の違い
デザインは同じで、色は戦後色っぽさを感じる白緑の単色です。 文字板を取り付けるベースの板の切り欠きが大きい形状です。
銀色文字板はアルミであることは共通ですが凝っています。
- 色は銀色仕上げでインデックスが浮き字
- 商標マークの上に、REG. TRADE MARK の文字あり
- 六時下に、MADE BY "MAGNER" NAGOYA, JAPAN. とある
機械の違い
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電池のマイナスのリード線の結線点がプラス側(振りペラ固定ネジ)の直下にありますがこれはたいしたことではないです。 設計上の一番の違いは、送り爪と逆転止が同軸にあることです。(写真9,10) 写真10がわかりやすいですが、送り爪の位置や角度調整はネジ一本が命ですので、のちのちこの調整が厄介だとなって同軸の設計は見直されたように思います。
マグナー機械調整のイロハ
この個体は結構使い込まれたうえにいい加減な調整が施されて最終的に修理を断念された状態だったので、 部品全点チェックと研磨・加工、再調整と何日も楽しませてくれました。 以下は、その経験から学んだ「マグナーのイロハ」です。
- 一番大事なこと、テスト用の電池は新品を使う
- 振子の正常動作を確認後に、送り爪・逆転止の調整を行う
- 振りペラの固定位置の上下数ミリの違いによる誤差は大きい
「振子時計の日差の調整は、振り玉の上下にあり、この時計も錘をクルクルとまわして上下に調整すればいいんだろう」 と思いがちですがマグナー君はちょっと違いますので上記の三点は泥沼にはまらないイロハです。
1. 電池が弱って1.5vでていないと極端に進みます。 電池が弱って振り落ち(振子の振れ幅が狭くなる)現象がでても針送りは正常動作しますので、 クオーツのように電池が終わったら時計は止まると思い込んだら大間違いです。 マグナーは電池が弱ると急に進みだします。 中古電池を使うと最初の何日かはちゃんと動いていたのに、突如一日に20分も進むようになった! そんなミステリーに遭遇して、振子を上下したり爪を再点検したりと何度も分解する泥沼にはまります。
2. マグナー君には仮にガンギがまったく動かなくても振子は元気にシャカシャカ動くという特徴があります。 よってまず振子の動作を確認した後に、次の段階として送り爪、逆転止の調整具合を見て針送りや日差を見ていくことになります。 どのように調整すべきかを文字で伝えることは難しいので省略しますが、 うまく調整できていないと、たまに針を送らない、振子は動いているのにいつの間にか針が止まっている、 秒針の動きがギクシャクしていて進む前にちょっとバックしているようにも見える、といった症状がでます。
3. 爪類の調整もばっちりだ、でも錘の調整で日差の調整がしきれない。そんな場合は、 振りペラのねじ止め固定の位置を調整してみてください。 ねじ止めの穴が大きいので固定位置が上下に数ミリ動きますが、 アンクル相当の接点レバーと相まってこの位置が精度に結構影響を及ぼします。
おまけです。 秒針の運針は一秒に近いけど、一秒ステップではないんです。 その点も調整の思い込みにつながりますので、ご注意を。