18. 一週間巻鎖引標準時計 【精工舎】
資料 1 鍵S夜光
一週間巻鎖引標準時計
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資料提供 : Hさん
メーカー |
製造開始年代 |
大きさ |
仕様・備考 |
精工舎 (東京)
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大正中期頃〜(資料なく推定)
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外径 19.5cm
厚さ 11.0cm
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一週間巻鎖引、打方ナシ、
面取硝子
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服部時計店第10版カタログ「第七編 特殊時計」に掲載されている時計で、説明には、
「本器は一名 "デント"型船時計と称せられ艦船用標準時計として特に製作したる
鎖引式レバー・エスケープメント附一週間捲の高級時計なり」とあります。
精工舎製の鎖引き時計と云えば、スイスのユリス・ナルダン製の機械をコピーした経線儀(マリンクロノメーター)がありますが、
これは超珍品として除外すると、これが一般に手に入れることの出来た我国唯一の鎖引き時計ではないかと思います。
(この鎖引機械を使用した木枠置時計も存在します。)
多くが軍用だったようで、この時計も6時位置外枠に「横航 五七三号」との表記が有ります。
文字板は、この時計は精工舎の鍵S商標がありますが、「一週間捲」や「一週間捲一型」と書かれたものもあります。
文字板を固定するネジは6本ありますが、2時、6時、10時位置の3本のネジが機械とケースを固定するためのもので長いネジ、
その他の3本はアルミ文字板を鉄製の文字板ベースに固定しているだけです。
鎖引装置(fusee)
時計の歩度はゼンマイの強さに多少影響される。
強ければ進み弱くなれば遅れる。
そして、ゼンマイの張力はゼンマイが解けるに従って衰える。
鎖引装置は、香箱の中のゼンマイの張力が徐々に解けて衰えて行くのを補正するために考案された機構である。
フランスやイギリスの古い(1600〜1800年代)懐中時計のほとんどに用いられ、
その後は高級なクロックやクロノメータに用いられた。
鎖引機械
左が均力車と呼ばれる旋転体。右がゼンマイの入った香箱。
鎖は均力車と香箱の外とに掛けられ、
ゼンマイを捲くと鎖は均力車に巻き取られる。
香箱が廻ると順次均力車の小さい方から大きい方へと鎖を巻き戻していく。
ゼンマイの力の強い間は半径の小さい方を引張り、弱くなれば大きい方を引張るから、
均力車を廻す力は終始一定となる。
資料 2 鍵S夜光なし置型改造品
鍵S夜光なし 概観
ケースの厚みは蓋込み11cmの厚いタイプ(資料1と同じ)
文字板6時下にMANUFACTURED BY SEIKOSHA TOKYO JAPAN
ケース下部には刻印なし
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昭和6年2月定価には、4種類(木製千鳥、木製角形、黒大理石頭丸、青銅日ノ出形)の鎖引標準置時計が掲載されており、
置き時計タイプは存在しましたが、この時計は置き台を作成して置き時計にしたもののようです。
台は木製で材料はおそらく紫檀だと思います。仏壇屋の木端を利用して作ったのかな、よくできてはいますがそんな印象です。
注目すべきは製造時期が古いと思われるところです。
ケースは厚みのあるタイプ、文字板のシリアルNo.が三桁、MANUFACTURED BY SEIKOSHA・・・の表記、どうも震災前に作られた雰囲気です。
文字板と機械
MANUFACTURED BY SEIKOSHA. TOKYO. JAPAN.
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文字板は真鍮製の銀色仕上げ。秒針のダイヤルは大き目です。
機械の地板は渦巻き模様のような仕上げです。テンプの保護カバーは付属していますが取り外して写真を撮りました。
文字板のベースは鉄製ですが、そこに修理履歴が四つ書かれていました。
- 8.1 〇田
- 14.1 〇田
- 昭和11年3月30日 服部時計店
- 昭和34年8月20日 伊勢伊時計店
昭和に入ってからは銀座街の時計店でメンテナンスをしていたようです。
その他の二回は大正時代の可能性があると思っていますが、鎖引きは大正8年以前に発売されていたのか確認できる資料がなく
大正か昭和か気になるところです。
資料 3 鍵S夜光端子付き
鍵S端子付き 概観
6時下付近に「呉航 726」の刻印あり
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鍵Sですが奥行きが8.5cmと薄くなっています。
文字板は夜光のドットが小さくなり、また秒針のダイヤルも小さくなったりと変化が見られます。
1時付近に端子の後がありますが、テンププレートにも何か部品が取り付けられていた形跡がありましたたので、
これは電気信号で秒針を停止する機能がついていたのかも?と考えています。
資料 4 一週間捲夜光
一週間捲 概観
ケースの厚みが8.5cmで資料3と同じ
6時下刻印なし
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文字板に「一週間捲」とあり、資料2と同じで奥行きが8.5cmと薄いタイプです。
文字板のデザインは資料2と同様のようです。
機械は基本的には同じようですが、四本の柱の材質や形状など若干違いが見られます。
一週間捲 機械
5 のテンププレートはカバーを外した状態
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