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懐中時計の基礎知識

13. 天府押に結合せる各部分品の分解

普通の場合で単に洗掃除ばかりの時には、天府押・ヒゲ・天真・天府輪・タボ座等は結合せし儘で分解せない方がいい。 之は位置の関係を壊す虞があるからである。 併し之等の修理取替の際は是非とも分解せなければならないから、以上之等の分解方法に就いて説明する。

14. 天府押とヒゲの分解

ヒゲの外端は、ヒゲ持(ヒゲ留)に通し、栓にて留められ、ヒゲ持は天府押に嵌め込んだものと、 尚ほ其横をネジにて留めたものとの二種類がある。 前者は押より分離せず、単に栓のみを抜いてヒゲを抜き出し、後者はネジを緩めて、ヒゲ持はヒゲに付いた儘、 ヒゲ持を押と分離せしむるのである。 ヒゲを取替える必要ある時は、栓を抜いて、ヒゲとヒゲ持を分離するのであるが、それ以外の時は其の儘でよろしい。

15. 天真とヒゲの分解

刃先の薄い小さいネジ廻しを、ヒゲ玉と天府との間に入れてこぢれば、 ヒゲ玉はヒゲと共に直に分離する。

16. ヒゲとヒゲ玉との分解

ヒゲの内端は、ヒゲ玉の外端にある小さき穴に入れ、小栓にて留めてあるから、ヒゲ玉をエグリ又は丸鑢等に堅く通して、 針先にて差したる反対の端より押出せば、直に栓は取れる。 栓が取れたらヒゲは直に抜ける。

17. 天真とタボ座との分解

天府ツバ抜にて、大タボ座を挟み静かに両方に廻しつつ抜くのである。 挟み方はタボ石を挟まない様にし、余り強からず弱からざる程度たるを要す。 挟み方が強過ぎれば大タボ座を壊したり曲げたり又は疵付けたりし易い。 又弱過ぎればタボ石を折る虞がある。 あまりかたくて抜け悪い様であったら、天真のヒゲ玉座を四ツ割にて堅く挟んで抜いたら、腕金が曲がらずによろしい。

18. 天府と天真との分解

天真は天府の嵌まって居る下部が一番大きいのであるから、目打台を使用して、此の大きい部分が嵌まり込む位の穴に入れ、 上から油持又はホゾが入る位の目打、即ちタガネを嵌めて、小金槌にて敲けば直に抜ける。

19. タボ座とタボ石の分解

タボ石はタボ座の穴に入れ、シケラックにて固着してあるから、少し暖めればシケラックが溶解して直に取れるが、 併し之は、タボ石が折れるか傷付くかして、取替える必要がある以外には、決して分解してはいけない。

20. 上部受石押、及び緩急針の取替

緩急針は、輪の部分が上部受石押に嵌まり押付られて居るから、受石押を取れば同様に分離する。 其の輪の一方が切断されて居るものは、押を取らなくとも、輪の切断せる箇所より少し広げ、こぢ上げ気味にすれば取れるが、 破損の虞がある。

21. 下部受石押取離し

下部受石は上部受石同様、金属の押にて押えられ、大概一個の小ネジにて留めてあるから、前同様ネジを抜いて取出したら宜しい。 之等の小部分品は、必ず一定の箱又は皿等に紛失せない様、整理して置かねばならない。

22. 小ネジ・小栓等の挟み方

之等を挟むには、一度掌に乗せて挟み直せば、掌が柔らかい為に深く確実に挟むことが出来る。

23. 鎖引時計の全舞戻し方

四角の香箱真が出て居るから、之に小さい全舞戻しを入れ、右手にて支持し、万力車をとめてあるコハゼを外し、 右手を除々に緩めて戻す。要するに掛置時計の場合と同様である。

24. 四刎(よつばね)分解法

四刎を首に挿入し、之に依って龍真を留める仕掛けとなって居るもので、主として米国製の時計に応用されて居る。 之は四刎や龍真等に故障がない場合には、普通分解掃除の際は、別に分解する必要はない。
之を分解するには、先ず機械を側から取出してから、小ヤットコにて側の内方に出て居る龍真の部分を挟んで支持し、 龍真を逆に戻せば龍頭は抜け去る。
次に龍真を内方に押込めば龍真を取出すことが出来る。 四刎の上端には相対して四つの切れ目がある。之に四刎抜又はネジ廻を入れて、 左に廻せば容易に四刎を抜き出すことが出来る。
之を組立てるには、分解の逆を行ったら宜しい。

出典 時計並蓄音機学理技術講義録 大阪時計学院
(大正時代)

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