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アンチモニー枠 八日巻

8. イブシ正角波間 【精工舎】

資料 1

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No.488 イブシ正角波間

メーカー 製造年代 大きさ 仕様・備考
精工舎
SEIKOSHA
昭和12年頃 高 五寸五分
幅 五寸九分
文字板三吋
八日巻ビー機械 、アンチモニー側

精工舎製で「正角波間」という名前がついています。 昭和6年、8年のカタログには存在が確認できず、昭和12年には掲載されていました。 戦争直前に極僅かな期間のみの販売となったモデルと思われ、滅多に見ることが出来ません。

八日巻きのため、アンチモニー枠としてはやや大きめな印象です。 針は昭和12年新発売のオリオンウラビーと同一の形状でガラスは面取りが施されしっかりとしたガラス縁で高級感があります。 四角い文字板を取り囲むように、フグ、波、ヨット、海草、タコ、船、蟹・・・とまるで海の標本箱のような面白さがありますね。 波が3ヵ所あるので、ヒトデと亀さんあたりを参加させてもよかったような気がします。笑

資料 2

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No.488 イブシ正角波間

資料1とまったく同じ仕様です。 裏蓋には、「賞 門司鉄道局 第七回工場作業競技会」とあります。

この時計は、アンチモニー枠も機械もかなり傷みがありましたので、どこまで修復可能かやってみる目的で入手しました。 まず、アンチモニー枠は正面が四角の模様にそって四分割になりそうなひび割れ状態でした。さらに土台部分ともあちこち亀裂が入っていました。 割れた原因は裏蓋のネジのしめ込み過ぎだと思います。六角ナットではなくマイナスドライバーでしめ込めるネジになっているため、 力まかせに締め込むとアンチモニー枠が極薄のためあっさりと割れてしまいます。 修理は底板のロウ付けを外して、内側からハンダ付けしました。 アンチモニーは融点が低いため、半田ごてを長めにあてているとあっという間にアンチモニー枠自体が溶け落ちて穴が開きます。 何か所か穴を開けてしまいましたが、なんとか成形してごまかしました。 ハンダの色が表面にでてしまった部分は金属パテを調合して表面の色合わせをしています。

次に文字板のペイントですが、あちこち劣化してはげ落ちていたため、塗料の残骸をひとつずつもともとあったであろう場所に張り付けたあと、 表面をクリアーコーティングしました。 ガラス縁はメッキが完全にはげ落ちて茶色になっていたため、メッキスプレーでごまかしています。

機械は、天真が極限まで摩耗していたため交換しました。アンクル体も深い傷があったため交換しています。 そうそう、写真5ですが八日巻きビー機械は剣回しのツマミが小さなネジで固定されています。 このネジはとても小さいので汚れていると存在に気づかず無理やり引っこ抜こうとして壊します。 分解時は注意してください。

当時のカタログ より

No.488 イブシ正角波間

文字板 三吋
高 五寸五分
巾 五寸九分

昭和12年5月発行 精工舎置時計型録No.58

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