3. 五吋半文化中三針テーパード(打方無し)
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メーカー | 製造年代 | 大きさ | 仕様・備考 |
---|---|---|---|
高野精密工業株式会社(名古屋市) | 昭和32年頃 | 全高28.5cm、幅18.3cm | 8日巻出車式中三針、打方無し、五吋半金属ペイント文字板 |
テーパードとは振子室の方に向かって裾が細くなっているデザインのため私がつけた仮称です。 うちの奥さんには「ドラキュラの棺」と呼ばれています。笑
時計の高さは前頁のものと同じですが、裾が細い分小ささが際立ちます。 当時の広告に五吋半とありましたので文字板は5.5吋ですが、 これは12時と6時の縦方向のサイズであって横は5時〜7時の下の部分で測定すると4.25吋程度で、 この横幅の感覚としてはヘソ目の文字板よりちょっと大きい程度なわけです。
箱の横には「勤続賞 高野精密工業株式会社」と記念の文字が入っています。 製造元の会社の社内表彰の記念品ということですが、現物支給のようで面白いですね。
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中三針の機械は前頁で説明していますので省略し、この時計を分解整備してあらためて気が付いたことを書きます。
まず、箱は極限まで小さくしてあるため機械をセットする際にシビアなクリアランス調整が必要です。 中三針にするために後ろ側に追加した出車が機械の厚みを増やしていますが、 箱の厚みを増すと不格好になりますので箱の厚みは機械がギリギリ収まるサイズです。 センターの秒針は長針よりも上につきますので、これも機械の厚みを増やしています。 中真は前後に若干の調整ができるようになっていますが、ガラスとの接触を避けることを最優先にして、前後の位置を微調整する必要があります。
もう一つ、摩耗しやすい機械だということです。 振り竿の短さをみてもわかるように短振りですので、 ウオッチでいうところの初期のハイビートのように油切れが早く機械が摩耗しやすい弱点があります。 油が切れても止まらずに結構元気に動いてしまうので、この機械を日常使用する場合は注意をはらって早めにメンテナンスしてあげる必要があります。
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