5. トラベリングアラーム新築記念品 【キンツレ】
資料 1 クロームメッキ
キンツレサック目覚一日巻 メッキ仕上げ鉄ケース夜光
CH TAKEDA & Co., LTD
株式会社武田長兵衛商店 新築記念品
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メーカー |
製造年代 |
大きさ |
仕様・備考 |
KIENZLE (ドイツ)
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昭和3年7月
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7.5cm角
文字板 ニ吋
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目覚付き一日巻
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独キンツレのサック目覚一日巻シリーズの鉄ケースです。
夜光は変色しているもののその他は新品同様でおそらく未使用と思われます。
吉田時計店の昭和4年カタログに同種のものが掲載されていますが、
この時計は大阪堺筋平野町の生駒時計店が取り扱ったものです。
武田長兵衞商店が創業以来大阪道修町に本社を構えており、
大正末には当時大阪のメインストリートであった堺筋沿いに生駒時計店の出張店が開設されていますので、
武田長兵衞商店の社屋新築に際して記念の時計が生駒時計に発注されたものと思います。
武田長兵衞商店 新築
武田長兵衞商店は大正14年(1925年)に創立して大きな発展を続け、昭和18年(1943年)に武田薬品工業と改称している。
幕末に建てられた土蔵造の旧店舗兼居宅を取り壊し、昭和3年(1927)にその跡地に関東大震災移行主流となった鉄筋コンクリート造りの3階建新社屋が完成した。
ビル自体はなおも健在とのこと。
資料 2 ガンメタ
キンツレサック目覚一日巻 ガンメタ仕上げ鉄ケース夜光
CH TAKEDA & Co., LTD
株式会社武田長兵衛商店 新築記念品
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こちらはケースがメッキではなくてガンメタ色で錆びが発生しています。新築記念のバッチは同じデザインのものがついています。
現存する時計からは売れ筋は革サックで鉄ケースは少数派だったと考えられます。
ではなぜ新築記念の品に鉄ケースを選んだのか。
第一に社屋のバッチが取り付けやすい、第二に当時のカタログを見ると時計自体鉄ケースのほうが値段が安いです。
そんな事情ではないでしょうか。
なお、鉄ケースのヒンジにはスプリングがついていますので、蓋を少し開くと時計がスーッと立ち上がってシャカっと三角形のきれいな形になります。
二つの比較
左がメッキ、右がガンメタ
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時計本体の他、革ケースと紙の外箱、それと一方には生駒時計店の説明書兼保証書が付いていました。
生駒時計店の保証書
保険証
昭和参年七月
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保険証はこの新築記念時計専用のもので取り扱い説明も記載されています。
とても丁寧な対応だと思います。
時計自体、チンチャン打ちの柱時計やテンプ振りのファーストなどと同じくらいの値段でしたから、
何個配布されたのかわかりませんが、記念品としてはなかなかの気前の良さだと思います。
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