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小栗時計製造所

1. 小栗時計製造所の概略と商標

明治27年5月加藤周三郎が伊勢山町で時計の製造を始め、加藤時計製造所を創立してボンボン時計の製造を始めたが、 大正7年之を義弟小栗信治に譲渡し、小栗は小栗時計製造所と称して経営しておったが、豪酒が禍して脳溢血で倒れ、 長男吉雄が之を継承したものの、之また丹毒で急逝して、一時その弟が経営し始めたが終戦後に廃業した。

参考文献:名古屋時計業界沿革史 吉田浅一編纂、昭和28年刊

代表的な製品として「アイデアル: IDEAL 」ブランドがある。 アイデアルは、ガンギと振り竿に工夫を凝らすこと(T.T.式と呼ぶ)により、 振子式でありながら掛時計を傾けて設置しても止まらないなどの六大特徴を売りにしていた。

商標登録原本

大正11年1月26日登録 小栗信治

当時のカタログ 「アイデアル グレッシャム」

大正11年12月 村木商店(大阪)

アイデアル グレッシャム

(一)本品は一度全舞を巻けば完全に十二日間運転を爲す
(二)従来の玉振時計は少し傾斜すれば振止まるも本品は前後左右各一吋(八分五厘)の傾斜に耐ゆ
(三)本品は全舞を巻きたる時も解けたる時も始終一様に時間絶対に正確なり
(四)従来の八吋及び十吋のグレッシャムは時間の正確を期する能はざりしを本品に於て其欠点を一掃せり
(五)従来の虫付(小秒針付き)掛時計の虫は一分間に正確に一周するものなかりしが本品は確実にこの運転を爲す
(六)玉振を掛けしまま動揺するも差支えなし

背板のラベル

T.T.式 "IDEAL" CLOCKS 玉振時計ノ革新

名古屋市中区東雲町 小栗時計製造所

特許資料 (実用新案69476=実公大12−004578)

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特許の出願人・考案者は高田友吉です。 T.T.式は考案者の名に由来しているようです。

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