3. シンクロンベークライト置B型 【東京電気時計】
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| メーカー | 製造開始年 | 大きさ | 仕様・備考 |
|---|---|---|---|
| 東京電気時計株式会社(東京市目黒区) | 1932(昭和7)年頃 | 高さ13cm、横10cm | ベークライト製凸面硝子、同期電気時計(50Hz仕様)、電灯線使用 |
ベークライト製の枠のデザインと文字板のフォントが可愛らしい小さな電気時計です。 同期電気時計って何?の前に、戦前の電池・電気時計はいろいろあるので最初に特徴を整理しておきます。
概ね5種類ありました。
- 電気式単独時計(直流)
- 電気捲時計(直流と交流の両方あり)
- 直流親子時計(直流と交流の両方あり)
- 同期電動機時計(交流)
- 電磁時計(直流)
電気式単独時計は電気式ムーブメントだけで単独に時刻を進める電気駆動の振子時計。 電気捲時計はタイムスイッチなどに応用されていて機械時計はゼンマイを人力で巻きますがこれは電気で巻きます。 直流親子時計は瞬間電流を子時計に伝える電気駆動の親時計と数個の子時計及び電池または他の電源からできている。 同期電動機時計は電源のサイクル(周波数)によって支配される時計。 最後の電磁時計は一時的な電磁石と振り子の永久磁石との間の磁気反発力を利用して動く振り子時計。 だいたいこんな感じかと思います。 シンクロンの同期電気時計は4番のタイプで交流電源の特性を使った唯一の完全な交流電気時計です。
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同期電気時計は電源周波数に回転数が同期する同期モーターを使って歯車で調速して時計の針を回しているだけなので、 機構が単純で時計個々で遅れ進みを調節するという概念がありません。 そして、ほぼメンテナンスフリーです。 「同期」がミソです。 低速モーターでただ回して時計個々で調速しているのではありません。 コンセプト的には交流版の電波時計なのです。 これを100年以上前に着想・実現化していたことを考えると時計職人では思いつかない柔らか頭だと感心します。
心臓部の同期モーターは単相交流自起動同期電動機として特許を取得しています。 世界初の同期式電気時計を発明したのは「電気時計の父」と呼ばれたアメリカの発明家ヘンリー・エリス・ウォーレン(1872年5月21日 - 1957年9月21日)ですが、 これに何らかの改良を加えたものと思われます。 「自起動」とは50/60Hzの商用電源に接続すると起動して同期速度に達するように設計されたモータのことで、 交流電流が作る周囲の回転磁界によって回転子が吸引されて追従し回転する仕組みです。
写真10に見える赤いケースが同期モーターです。油を充たしたケースの中に密封されているようですが、 写真9のようにオイル交換は考慮していない構造ですし、現状は正常に動いているし、どんな油が適しているのかもわからないので、 そのままにしておきました。調子が悪くなったら穴をあけて対処しようと思います。
特許の出願については以下の通りです。
- 特許第98741号
- 出願 昭和6年6月26日
- 特許 昭和7年12月19日
- 発明者 横山誠一
- 単相交流自起動同期電動機
秒針の動きは一秒ごとのステップ運針ではない現代のスイープセコンドのようなスーツと流れるような動きです。 ただし、モーター音が低い音でジーーーと響きます。 12時下の窓は、「停電お知らせ機能」です。 稼働時に裏側のつまみで白にセットしておくと、電流遮断時に(瞬間的に一秒でも遮断されれば)赤に変わって停電があったことを知らせます。
6時上にあるESCのロゴは電気器具の普及を目的とした東京電気商品株式会社のものです。 売店は銀座と上野にあり、電気時計シンクロンの他、電気スタンド、電気蓄音機、電気扇、井戸ポンプ、電気洗濯機、真空掃除機などを販売していました。 シンクロンは、時計店ではなく電気器具店で他の電気製品と一緒に販売されていたようです。 メンテナンスフリーだから修理を気にすることなく販売できたのでしょうね。
当時の資料より
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シンクロンのベークライト置時計には大柄のA型と小柄のB型の二種類がありました。 B型には夜光タイプもあります。
本頁に掲載のA型夜光なしの値段は8円50銭、 これは同時代の裸ゼンマイの八日巻きスリゲルより少し高くて、15日巻き座敷時計よりちょっと安いといった絶妙な価格設定です。













