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 修理と雑学

研究報告


1. 掛時計の時報の音を小さくする方法

掛時計の時報の音を小さくする研究を土曜にして、かなり効果があったので発表いたします。
時報の音量は最大音と余韻の長さの組み合わせで評価できるかと思います。ゴムなどを使うと音が小さくなるというよりも 余韻がなくなり、情けない音になりますね。私が研究したのは、長い余韻を保ち、最大音量を下げる方法です。
ハンマーで叩かれる鋼棒(家のは比較的新しいので、渦巻きではなく、2本の棒です)は鋳物で支持され、 柱時計の箱に取り付けられています。この鋳物が箱にしっかり付けられているため、箱が共鳴し、大きな音になると考えられます。 そこで、鋳物と箱の間に、防振用のゴムシート(0.5mm厚さを使いました)を挟んで固定するのです。 最近梱包に使われている薄い発砲スチロールのシート(1mm厚さ位)でもよいようです。何枚か重ねて調整できます。 これで、箱の共振が押さえられ、最大音が小さくなりました。 そしてハンマーにセロテープををはります。これも最大音を下げるのに割と貢献したようでした。最後は鋼棒の2、3個所に セロテープをはって微妙に音量・余韻をコントロールします。 余韻は次の音まで十分続き、遠くで鳴っているような優しい音に代わった気がします。

研究発表:やーみん

2. 腕時計や目覚まし時計の風防の磨き方

腕時計やコロナのプラスチック系風防には擦り傷がつきやすいので、使っている内に透明感が失われていきます。 これをきれいに磨く方法を紹介します。

  1. まず風防ガラスをはずします。外せない場合は、縁のケースとの間の外周にセロテープをはって防水・防塵します。 これはお薦めできるかどうかわかりません。他の人のアイデアをうかがいたいです。
  2. そこで、風防にサンドペーパー(#1000―#2000位)をかけて粗傷を取り除きます。 この段階では、風防表面が擦られて白っぽくなってしまうけど、心配御無用。
  3. 次に歯磨き粉などを布などにつけてごしごし磨きます。専用の練り状のものが売られているそうです。 この点についても他の方のコメントをいただきたいです。この段階ではややサンドペーパーの擦り傷がなく なり、かなり透明感を取り戻します。
  4. 最後の仕上げに、必殺「プラスチック磨きクロス」(株)光陽社を使います。これは195*125mmの大きさの フェルト状の布で、2枚500円くらいです。ハンズでたまたま発見しました。 これでごしごし磨くと、ほとんど透明になり、文字盤がじつに美しく見えるようになり、感動間違いなし! この方法のポイントはプラスチック磨きだけなので、1から3までの方法は他にもあるかと思います。

あまりにきれいになるので小傷がつくたびに何度も磨くと、風防が薄くなってしまうので磨き過ぎには注意しましょう。

研究発表:やーみん

歯磨き粉ではちょっとと言う場合は、練り状の磨き粉 アモールなどを使用

これらの磨き粉は布につけて使いますが、ボロ布が無い場合はキッチンペーパーが便利です。 ティッシュペーパーはすぐにポロポロになるので駄目です。

固形バフ研磨剤 赤棒、白棒、青棒もかなりイケマス

バフに付けて使用する固形研磨剤に、赤棒(前仕上用)、白棒(仕上用)、青棒(超仕上用)というのがあります。 これらは安価でどこのDIY店にもあります。研磨力も適当でピカピカになります。バフがけまでいかなくても 布に付けて磨くだけでもオッケーです。

情報提供:Nakata 様

風防磨きの手間を惜しむな!!

個人でコレクションしている時計の風防を上記のような方法で磨くのはそれほどたいへんではありませんし、逆にお金がかからず 楽しい作業ともいえます。
しかし、これがアンティークショップとなると磨きの手間が大変なので新品に取り替えてしまえ!! ということになることが多いようです。この場合に問題なのがオリジナルと同じものに交換したのか?ということです。
「似たようなもの」を取付けた場合、

  1. 形が変わって時計全体の印象が変わってしまう
  2. 最初はピッタリのように思えたが数ヶ月するとゆるくなって風防がクルクル回ったり、ピシピシ音がするようになり、 防塵・防水性が低下する。
  3. ひどい場合は、秒針(センターセコンド)が風防の裏側に若干接触した状態で取付けられ、この場合ゼンマイの力が弱くなると 時計が止まってしまう
  4. 風防の形状が変わったためベゼルが正常にとりつけできなくなり、接着剤を使って貼りつけてごまかす。 ←44キングセイコーは要注意です。
    などの問題が発生することがあります。
ヒビや割れが入った風防は交換やむなしですが、オリジナルの風防が入手できない場合は極力風防 を磨いて欲しい、磨くのが大変だったらそのままにしておいて欲しい、そう思います。


3. 目覚まし時計のヒゲゼンマイをつなぐ(のばす)方法

古い目覚ましの時刻が、テンプが原因で大幅(1〜数時間/日)に進む場合、テンプにオリジナルと違うものが使われていたり、 ヒゲぜんまいが切れて短くセットされている場合があります。
同型のテンプを見つけることは難しいので、今回はヒゲゼンマイを直接修理する方法をレポートします。

  1. ヒゲゼンマイを用意する
    大きさ太さが大体あっていればよい
  2. テンプの軸を支えているネジを緩め、テンプをはずす
  3. 別に用意したヒゲゼンマイを適当な長さに切り取る
    数時間/日進む場合は2周り、1〜2時間/日進む場合は1周り程度が目安。短すぎると後が大変なので、あと半周り分程度長めに したほうがよい。
  4. ヒゲゼンマイをハンダでつなぐ
    事前につなぐ部分をサンドペーパーがけしておいたほうがよい。 ブラブラしたもの同士をくっつけるので案外難しい。 両方とも少し真っ直ぐ目に伸ばしておいた方がきれいにつながりやすい。 またハンダが多すぎると遅れの原因になる。
  5. ヒゲゼンマイを整形する
    ピンセットなどでゼンマイの間隔が均一になるように曲げ直す。 ここは時間をかけて丁寧にやったほうが後のやり直しが少なくて済む。
  6. テンプをセットする
    時計の姿勢をあれこれ変えてもテンプが動くような(トルクの出る)位置でヒゲゼンマイを (爪楊枝などで長いまま)固定する。
  7. セットすると緩急針との接触などでゼンマイ形状が変形したり、 ハンダ付けした部分が引っかかったりする
    5,6,7をくり返す。試行錯誤がもっとも楽しい(?)工程。
  8. ちゃんと動くようになれば1日20分程度の誤差に改善されているはず
    機械的な劣化が他になければ、5から再調整を繰り返せばさらに精度を追い込めるはず。 緩急針をF, S最大にして、それぞれ進み後れ状態になればもうけもの!
  9. ヒゲゼンマイを完全に固定する(爪楊枝の場合は短く切ろう)
    時計全体を組み立てる。
  10. あとは緩急針の調整で実用レベルの精度に追い込む
    一ヶ月くらいかけて気長にどうぞ。

これで1日数時間遅れの1930年代の目覚ましを安くゲットして、1日1〜2分程度の精度まで復活しました。
おまけに一ヶ月以上も修理で遊べました!

研究発表:やーみん

4. ヘソ形目覚の紙製文字板の固定

ヘソ形目覚の紙製文字板は、鉄釘か真鍮釘で固定されていることが多いようです。
ゴトク裏で折り曲げて固定しますが、釘は硬いため折り曲げたり、まっすぐに戻す際に釘の頭が文字板に斜めに接触して 文字板を傷めやすいのです。
そこでオススメなのが真鍮製の「足割りリベット」。
見かけは真鍮釘と同じようなのですが、その名の如く足の先が二つに割れるのでゴトク裏で足を二つに開いて文字板を 傷つけることなく、簡単に固定できます。
ホームセンターで10個入りで100円程度です。




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