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 修理と雑学

時計の雑学


1. 時計所有者の心得

時計は人類に取って最も有益なる発明品の一つであることは誰も否むことの出来ない事実であります。 併しそれ程有益なものでも若し正確に時間を報じなかったならば何の役にも立ちません。 由来時計器械の原理は極めて微妙なもので天然自然の法則と而して機械的動作とがしっくりと融和した處に初めて完全な働きを 現すのでありますから、この点に善く留意して製品の選択は勿論其の取扱には充分注意を払うことが必要であります。

そもそも時計器械の要部に宝石を用ふる訳は、軸の回転其の他喰合等から起こる摩擦を成るべく減じて機械の運転を円滑ならしむる と同時に摩擦を防止するに在るのでありますから、従って其の宝石の数が多ければ多い程善いのであります。 然し宝石と云ふても種類に沢山ありまして一般に用ひらるるものにはルビー、サファイヤー、ガーネット、硝子(粗悪品)等で 最良なものにはダイヤモンドも用ひられて居ります。 而してそれ等は硬度の高いもの程良い事は勿論であります。 尚温度の変化や置方の如何に依って生ずる時間の変動に対しても夫々の整調を完全に施してあってこそ初めて時計としての目的が 達せられるのでありますが、以上述べたやうな諸点に缺くる所のある品を所持して尚且時間の正確を期するが如きは寧ろ無理な 望みと云わねばなりません。 余り薄手の側や、(但し此場合ウオルサム・コロニアルA等の如く特に保證されて居るものは此の限りにあらず)又は機械に正しく 合はない側を用ひた時計に依って完全な機械の運動を期するも亦到底不可能のことであります。 綿密に注意して造られた時計側は微妙な塵埃は勿論、総て外部より来る障害を防御します。

善良な時計を求めんと欲さば須らく信用ある確かな時計店から買ひ求めなさい。中には好んで古時計を求める人もありますが、 之は最も嫌うべきことで不完全なものを得て失敗に終わることが多いものでありますから、素人としては成るべく斯かる危険は 避くるを可しとします。

次に取扱に就いてはぜんまいは必ず一定した時間に捲き、且つ夜間よりは朝之を捲くほうがよろしい、それは日中携帯せらるる 時に當り、発条よりの全動力が充分に伝播さるるからであります。

現今製出さるるウォルサム時計は、一回之を捲けば優に三十余時間を保ちますが、二十四時間毎に一回捲いて置くのが最善な 方法であります。

鎖は単に時計を安全に携帯する為めばかりでなく、ポケットの中に入れた時、時計を絶えず直立した位置に保つことが出来ます ので、従って一定不変なる速度のもとに機械が正しく運転し得るのであります。

若し時計に故障が出来た時は、経験のない自分の手で直さうなどと試みることなく、充分に信頼の出来る時計師に一任するのが 最善の策であります。之は單り懐中時計のみならず総て掛時計や時辰儀でも矢張りさうであります。 又時計の緩急針を動かす事のみに依って正しく時間を調整し得るものではありません。

自己の所持する時計が誤りなく時を報じつつあるや否やを見るには正確なる標準によって比較することが必要であります。

最後に注意すべきことは時計器械に注ぐ油の有効期間は大凡そ一ヶ年乃至一ヶ年半を限度としてありますから、少なくとも 一年に一回は熟練せる時計師によって機械の掃除をなすと同時に注油せしむることを怠ってはなりません。 斯くしてこそ初めて時計の生命は完全に保たれるのであります。

通俗時計学 オロフ・オールソン著、大正8年

2. 腕・懐中時計の機械の刻印の意味

3. 時計に使われる金属

よく耳にするけどなんだかな〜って感じの金属を紹介します。勘違いしてどこかのオークションで高値を つけすぎたりしませんように・・・
(1)洋銀 German Silver 美しい銀白色を呈し、銅60%、亜鉛20%、ニッケル20%くらいの合金である。硬くて力も強く 耐食性も大きい。時計ではバネ類や懐中時計のケースに使用される。
(2)サンプラチナ SPMと刻印されることが多い プラチナに似た輝きの模造白金でプラチナではない。金属の名前ではなく商品名である。 時計では、大正〜昭和初期の腕時計のケースや懐中時計の鎖などに使われている。ニッケル 87.4%、クローム11.4%、鉄0.42%、その他アルミニューム、珪素などが含まれる。
(3)プラチノイド Platinoid タングステン1〜2%を含む一種の洋銀である。懐中時計のケースに使われたりする。懐中時計の 裏蓋を開けると内側にPlatinoidと刻印があったりする。なんとなくプラチナに似たつづりなので 「おーーっ、プラチナのケース!」と勘違いしがちだが、よくみると明らかに輝きが違う。 永久性の光沢を有するので装飾品に用いられる。
(4)プラチナイト Platinite コレまた、プラチナと勘違いしやすい。ニッケル鋼のうちNi44〜47%のものがプラチナイト と呼ばれる。懐中時計のケースに使われることがある。プラチナイトはガラスと熱膨張係数が等しい ので電球に封入する針がねに用いられた。昔この目的でプラチナが利用されたため、この名がある。

4. 意匠登録(意匠権)

意匠権は物品の斬新なデザインが保護対象となります。
工業生産品に利用できること、オリジナリティのあることなどが要件となっています。
広義でのデザインという言葉は漠然としていますが、形状に結びつく模様や色彩も保護対象となります。 特許権や実用新案権が、方法やシステム、工夫を保護対象としていたのに対して、意匠権は物の印象を決定づけるのに 大きな役割を果たすデザイン自体を保護対象としています。
時計では明治後期頃から精工舎がユンハンス写しの新製品の掛時計を意匠登録していますが、そもそも写しを意匠登録していること、 また、意匠登録しているのに名古屋ものにそっくりな時計が存在していたりしてどこまで意味があったのか謎です。

5. 登録商標(商標権)

掛時計の文字板に”TRADE ● MARK”がありますね、 この●の部分のマークや懐中時計の裏蓋にある例えは精工舎の場合の”扇にSKS”などが商標です。
この商標は製品・企業イメージを高めることにも、大いに役立っており、 アンティークの時計の世界では、その物の善し悪しを判断する際に重要なポイントになっているのではないでしょうか?
商標権は自分の製品やサービスを他者のそれと区別するために付けられる名前、マークなどが保護対象となります。 かな文字・ローマ字1文字の商標は原則的には登録できません。 また、国旗を模したものや公序良俗に反するマークなども同様に登録できません。 特許権、実用新案権、意匠権及び商標権の総称が「産業財産権」ですが、これには存続期間が定められています。 しかしながら、商標権だけは更新が認められています。 それは商標が1製品にとどまらず、その所有する者の経済活動すべてに係るシンボルだから・・・ということのようですが、 例えば林時計などは経営者や会社が何度も変わりながら同じ商標を何度も再登録して使用していました。



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